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  元素 Element の分類 と 組織化 Elementform (1)

   ~メンデレーエフと化学元素の周期律・周期表~


元素 Element の分類と組織化 (2)
Elementarformの形成史
    目次
 1. 化学元素とは
 2. 元素の周期律とは
 3. 元素の周期表とは
 4. 元素の周期律・表の科学史上の意義
 5. 元素の組織化と
『資本論』のElementarform
 6. 21世紀ー「周期表の物語」
    元素から見た『化学と人類の歴史』 

 ・・・・・  ・・・・・・ 


 1. 
化学元素とは
 18世紀後半から19世紀前半にかけて化学の発展に伴い元素が数多く発見され、ラヴォアジエが作成したリストでは1789年に33個の元素が記載された。その後ドルトンは、水素原子の質量を1として相対原子質量(原子量)の表を出版した。
1830年までにその数は55種まで増えたが、それとともに元素は一体何種類あるのか、そしてこの増大してゆく元素に何かしらの法則性が隠されていないのだろうかという課題が明らかになった。このようにして、物質を構成する基本単位である元素を、化学上の元素で表現し、他の分野で用いられる元素と区別して限定する場合に、「化学元素」と認識されるようになった。



 2. 
元素の周期律とは
 化学元素を原子量順に並べると、元素の性質が周期的・巡回的によく似た性質が出現する。1860年代に研究がすすみ、1869年、ロシアのメンデレーエフによって「原子量順に元素を並べると、元素の性質が周期的に変わる」という周期律が提案された。 ー 『資本論』第1版の刊行は1867年、第2版は1873年 ー
 当時60種ほどの元素が知られていたが、原子量順の周期性を持続するとき、周期律の数か所で未知の元素が現れていた。メンデレーエフは、「未発見の元素」として扱い、その性質の元素がいずれ発見されると予言した。その後、1875年にガリウム、1879年にスカンジウム、1886年にゲルマニウムと次々と新元素が発見され、メンデレーエフの周期律が科学的に証明されることになった。



 3. 
元素の周期表とは
 物質を構成する化学元素が持つ物理的または化学的性質を「似たもの同士が並ぶように決められた規則(周期律)に従って配列した表」をいう。
 現在利用されている周期表は、1869年メンデレーエフによって提案された「原子量順に並べた元素が近似した性質を示す周期的な特徴を配列した表」に始まる。



 4. 
元素の周期律・表の科学史上の意義
 元素の周期的分類は、科学で行われた最も偉大で価値のある一般化の一つと評価されている。この分類法は、「
元素を組織化する原理」であり、「元素の性質と原子量の周期律を組織化の原理」としている。その結果、メンデレーエフは、元素を同定し定義するときの基本的な量を確立し、未知の元素を予言することが可能となった。
 20世紀には、周期律の意味が原子構造論の言葉で説明されるようになり、原子番号の概念とラザフォードの原子核とが相互に結びつくことによって現代的に再定義された。

 5. 元素の組織化『資本論』のElementarform
 
*元素の周期律:元素を原子番号順に並べると、化学的性質の似た元素が周期的に現われる。これを元素の周期律(periodic law)という。
 
*元素の周期表:元素を原子番号順に並べ、化学的性質が似た元素が縦に並ぶようにした表を周期表(periodic table)という。

 『資本論』のElementarform

 『資本論』の始まり 第1章は、「社会の富」と「個々の商品」の関係がElementarformとして現われ 〔erscheint:現象する〕、『資本論』の研究は「商品の分析」で始まる と宣言しています。
 1-1「 資本主義的生産様式〔 kapitalistische Produktionsweise:資本制生産の方法〕の支配的である 社会の富は、「 巨大なる商品集積〔”
ungeheure Warensammlung":そら恐ろしい商品の集まり・集合 〕」として現われ、個々のeinzelne 商品はこの富の成素形態 〔Elementarform:元素の形式〕 として 現われる erscheint。したがって、われわれの研究は商品の分析をもって始まる。」

 この短い文脈において、マルクスは「元素」と「元素の形式化・周期律表」の観点を取り入れています。
  〔*
『資本論』草稿第1部「*直接的生産過程の諸結果を参照〕
 
 

  6. 21世紀ー「周期表の物語」
    元素から見た 
『化学と人類の歴史』 アン・ルーニー著 原書房 2019年発行

      -おわりに 全と無-
 「 2000年以上前、人々は、すべての物質は虚空、もしくはカオスから生じると考えていた。多くの文化で、その生成は、神による創造だと信じられていた。やがて物質は自らの構造を整えて-あるいは、何かに整えられて-形のないものから、属性を持った万物の構成要素へと変貌した。今私たちは、ある意味、元のところに戻ってきたのだ。現代のモデルでは、すべての物質(時空も含めて)はビッグバンの瞬間に始まったことになっている。
数十億年をかけて、その原初の物質は化学元素へと形作られていき、今や元素は、私たちの周囲にあるすべてのものを構成し、それらに性質を与えている。このモデルは、古代ギリシア人たちにも、それほど違和感なく理解できるのではないだろうか。
 物質の構成要素を明らかにし、それらを周期表として配列する取り組みにおいて、化学者たちは離れ業的な偉業を成し遂げたが、それは発見の連続でもあった。私たちが生物を分類する際には、重要で注目に値すると思われる特徴を選び、それらの特徴に基づいて行う。それは数多ある可能な分類方法のひとつである。しかし、周期表の場合はそうではない。周期表は、原子内の素粒子の数という、物質の基本的な性質に基づいている。科学者たちが、周期表の順番がこの基本的な性貨とどのように関連しているかを知る前に、その現れである効果を調べることによって、周期表の大部分を完成させたことは、じつに印象深い。
 標準的な形式の周期表は、誰もが知っている象徴的な存在となっている。同じ内容を異なる形式で表示しようとする試みがこれまでに多数行われており、たとえば円形の周期表や三次元の周期表などがある。

  宇宙に向かって話しかける
 周期表はおそらく、私たちがほかの惑星上の知的生命体と共有できる唯一の知識であり、たとえその生命体がほかの銀河に存在したとしても、やはりそうだと考えられる。周期表は宇宙の隅々まで有効なのだ。1970年代前半、NASAは太陽系の外惑星[具体的には木星と土星]を探査するためにパイオニア10号と11号を打ち上げた。これら2機の宇宙船は現在、太陽系の外へと向かって飛行を続けており、永遠に私たちの太陽系から遠ざかっていく。パイオニア10号は、赤く輝く恒星アルデバランに向かっており、200万年ほどすれば到達するはずである。パイオニア11号はワシ座の方向へと飛行しており、400万年ほどでそこを通過するはずである。

 両機は、どんな異星人に発見されても、どこからやってきた宇宙船なのかがわかるように、一連の記号や絵を刻印した金色の金属板を搭載している。板の左上(私たちなら最初に見る部分)には、宇宙で最も豊富な元素である水素の中性原子でスピンが反転する様子を表す図が描かれている。さまよう宇宙船を捕獲するほど文明が発達した異星人なら、必ずその意味がわかるはずだ。同じ図には、この金属板で使う時間と距離の単位が、水素原子のスピン反転現象[正確には超微細遷移と呼ばれる]に関連付けられていることが示されている。具体的には、このスピン反転で水素原子から放出される電磁波の振動数1420MHzの逆数、0.7ナノ秒を時間の単位として使い、また、この電磁波の波長21cmを距離の単位として使うことが理解できるようになっている(描かれた女性の身長は21cmの8倍である)。
 周期表は極めて普遍的な共通語なので、身体構造や、文化や思考回路が異なる他の生命体に話しかけるのに、周期表を使うのはいい選択だろう。その日が来るまでに彼らが元素について発見する事柄は、私たちがこれまでに発見したことと同じはずだ。彼らが辿る周期表の物語の道筋は違うだろうが、到達する結論は宇宙のどこでも同じに違いない。」